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高齢化社会が進む現在、高齢者を中心に、様々な文化・文化財情報へのニーズがますます高まっています。一方、生活圏の広域化と高度な情報化により、生活価値観の変化や多様化から地域連帯意識が薄れ、地域活動の弱体化とともに伝統行事や無形民俗文化財など、伝統文化への関心が極めて希薄となっています。このような中で、二戸市固有の伝統文化や文化財への理解と関心を深める施策の取組により、誇りある郷土を再発見してもらい、市民一 人ひとりが郷土への愛情を育み、地域の活性化を図ることが喫緊の課題となっています。
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本市屈指の歴史文化遺産である天台寺は、重要な観光資源ですが、築350年を経て本堂、仁王門の腐朽が進み危険な状況となり、抜本的な修繕、解体修理の早急な実施が必要になっています。しかし、天台寺単独での事業実施が困難な状況であることから、国庫補助事業の確実な実施に向けて、関係機関との密接な協議、地域住民、保存会の協力を得ながら、市の積極的な実施支援体制を確立し、事業の推進を図ることが求められています。
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国史跡である九戸城跡は、中世と近世の両方の城郭の特色と荒城の佇まいを遺しています。仮整備を実施した二ノ丸芝生広場は、高齢者スポーツの場としても活用され、散策やピクニック、探鳥会など多くの市民の憩いの場としても機能しています。また、ボランティアガイドの活動により、近年来訪者、特に遠来の見学者が増えています。しかし、永久的な整備は未着手であ り、郷土の誇りであると同時に国家的な文化遺産であるため、国の指導の下での史跡公園の早期実現が求められています。そのため、さらなる史跡指定地の公有化の促進と、学術調査等による城の構造解明を急ぎ、史跡公園化の早期実現に努めることが課題となっています。
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文化財や伝統文化は地域の宝であり、これらへの理解を深め、活用することにより市勢の活性化が図られることが求められています。また、文化財の保存と活用を通して地域の連帯意識の高揚を図り、地域活動の活性化へつなげるとともに、地域づくりと連携しながら、地域住民と一体となった文化財保護・保存活動の展開が必要です。
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二戸歴史民俗資料館は、昭和50年に開館後、地域の文化、歴史、民俗の各資料の展示保管施設として機能してきました。現在、施設の老朽化、収蔵能力を超えた蒐集資料の飽和状態化により今後の事業実施に弊害をきたしています。そのため、同時期に整備された同じ長嶺地区 の中央公民館、体育館等と併せて、今後のあるべき姿を検討し、新規の「長嶺地区文教施設整備基本構想」を早期に策定することが必要です。
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地域の伝統文化・歴史・民俗風習を知るうえで、郷土の先人たちが造り、使い、残してきた資料は貴重な宝であり、後世に永く伝えるべきものです。
二戸・浄法寺両歴史民俗資料館と埋蔵文化財センターの連携強化によって 新たな資料の発見に努めるとともに、市民への協力を求めながら広く民俗資 料の収集・研究・活用を推進することが求められています。 |